2019.07.05
重岩
「重岩」
画用紙に油彩 2019.6
7/3から大阪で開催のグループ展「Kiss me once」に展示している2点のうちの1点です。
ラブリーなグループ展名ですが、対人関係の恐怖や不安が本当のコンセプト。
いつも恋人を描いているので素直に恋愛を扱おうと思いましたが、現状幸せな恋をしている実感があるので、わざわざ暗く重たい要素を見つけ出して作品にするのは気持ちにそぐわないうえ、大事にしてくれている恋人にも失礼に当たります。どうしたものかと悩みました。
そこでちょっと視点を変えた取り組みをすることにしました。恋人に写真を選んでもらうのです。
わたしは自分に自信がなく、世の中には素敵な女性が星の数ほどいます。恋人がなぜ恋人でいてくれるのか、どこかへ行ってしまわないか、幸せな中にも自分由来の不安は絶えることがありません。
もし恋人がわたしを絵に描くならという視点で選んでもらい、彼のまなざしを感じることで不安を拭い去ろうとしてみました。
恋人は数日かけてわたしが思っていた以上に真剣に、かつ楽しんで写真を選定してくれました。それだけでももう十分なくらいです。
この重岩は恋人お気に入りの場所で、去年の9月に訪れたとき、ずっとわたしを連れて来たかったと言っていました。長い道も険しい山道も終始楽しく歩きました。幸福をてんこ盛りにしたような時間です。
平坦で猛スピードな仕事ばかりの毎日はつらいことのほうが多いですが、描いている間はそんな幸福でいっぱいになっていました。