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2024.03.23

ボニン浄土

「鴨池港」
画用紙に油彩 2022

個展のために制作した作品ですが、昨年夏発売の文庫本の装画にご使用いただきました。筆不精でこちらに書くのがとっても遅くなってしまいました……
宇佐美まことさん「ボニン浄土」(小学館文庫)
デザインはbookwallの上原さんです。ご一緒させていただくのはこちらで三冊目でした。いつも本当にありがとうございます。
「ボニン浄土」は小笠原諸島のお話ですが、「鴨池港」は鹿児島のシンボルとも言える桜島を描いています。このまま装画になれば、目にした県民は「鹿児島の話かな」と思ってしまう可能性があるのではと思い、上原さんにお願いして形を変えていただきました。柔軟にご対応いただきありがとうございました。
個展のための制作中はさまざまなプレッシャーを勝手に背負い、どのようなものを描けばいいのかわからなくなっていました。
「鴨池港」は堤防の上を歩く恋人を描いたものですが、構図がややベタかな、かっこよく決まりすぎているかな、でもそういうもののほうが売れるかもしれない……と打算的な気持ちで描きました。完成してもよく描けているかどうか冷静に見られませんでした。
しかしいざ会場に展示してみるとわりとちゃんとかっこよく、小さいながら目に留まる作品になっていることがわかりました。
ご来場いただいた親戚のかたがお買い上げくださったのですが、その後もたまたま来てくださったであろうお客様に「これもう売れちゃったんですか?」とお声がけいただき、やはりベタを恐れずストレートにかっこいいものを描くことも大事なのだ、描いてもよいのだと実感しました。
そうは思ったものの、今改めて見返して、そもそも何だかそこまでベタじゃないような気もしています。