2021.12.06
「眼裏の太陽」
キャンバスに油彩 2016.9
まなうらのたいよう と読みます。
卒業旅行で訪れたアメリカ。旅の最終日。
歩き回って疲れた体を友人宅のソファに預けその濃密な行程を振り返るとき、まぶたの裏には鮮やかな景色とともにぎらぎらしたカリフォルニアの太陽の光が映ります。
旅が終わっても目を閉じればいつでも思い出すことができる強烈な光です。
私にとってとても大切な一枚を、このたび装画にご使用いただきました(発売から少し経ってしまいました)
ツチヤタカユキさんの「前夜」(小学館)
デザインはbookwallの上原さんです。
すばらしい作品です。まだの方はぜひお読みください。
余談ですが、この旅でアメリカを案内し家にも泊まらせてくれた友人はラジオが好きでハガキ職人時代のツチヤさんを知っていたこともあり、自分の家が装画の背景になったということをとても喜んでくれました。思わぬところで思わぬご縁があるものですね。
2021.03.07
「いすみ鉄道」
画用紙に油彩 2021.3
もう春です。早いですね。
昨年のちょうど今頃、先輩デザイナーのおじさんに勧められ健保の制度を使って宿をとり、房総一人旅をしたときの絵です。
遠くに行くのにろくに下調べもせず、なんとなく興味があったいすみ鉄道に乗るのと、なめろうを食べることだけ心に留めて行き当たりばったりで進みました。
その日はとてもいい天気で、あたたかくて、平日だったこともあってかどこへ行っても人気がなくて、どこを見ても景色がよくて。とにかく気分が高揚しました。
窓を開けて走るいすみ鉄道の車内を菜の花の甘い香りが通り抜けていきます。外を見るとこちらを撮る人がちらほら。カメラの向けあいにちょっと不思議な気持ちになりながらも、そちら側の景色も見たかったな、と思いました。