2018.06.20
「横須賀」
画用紙に油彩、アクリル絵の具 2018.6
新しい勤務先にも慣れましたが、緊張が減ったぶん気持ちのつらさが目立つようになった6月です。
諦めて自分にできることをするしかないと思うので頑張ります。
絵を描くことで存在を許されている、という感覚は仕事をしていても変わらないようです。
ごみを出しそびれた土曜、虫歯の治療をしてもらえなかった日曜など、うまく運べなかったときほど、何かを生み出さないと自分を許すことができなくなります。
映画を観たり本を読んだり、好きなことはいくつかあってもやはりそういう意味で絵は特別なものであるなと再確認しました。
絵の題材は甘いものです。ばらと恋人。
横須賀の軍艦と公園のばら、どちらも見応えがあり目が忙しく楽しかったです。
香りのよいばらをそっと嗅ぐ。花陰に隠れた様が甘美だなと思い描きました。
2018.04.09
「不忍池」
画用紙に油彩、アクリル絵の具 2018.4
撮ったのは10月だったでしょうか。まだ日が長い秋のはじめ、昼と夕方の間の眩しい上野です。
蓮の葉が生き生きと瑞々しく光を受けていました。
前回雨の絵を描いたらやはり光に乏しく難しかったため、今回は光源が明確なものを選びました。
また、最近は細々したものを描き込めることが多かったので、紙のサイズに合った自由な筆運びができるもの、というのもポイントでした。
そして苦手ながら描きたいという思いもあったので、ここらでひとつ、顔も描いてみました。
モデルへの思い入れが強いほどに、似ているか似ていないかで作品の好き嫌いが決まってしまうような気がして、顔を描くことにあまり積極的になれません。
今回もだいぶ苦戦しましたが、ふわっとまあこんな感じか、くらいで執着しすぎない落としどころを探りました。
背後ののびのびした蓮も手伝って、軽快に描き進めることができました。
生命力のある絵になったのではないかと思います。
2018.03.26
「姫おごじょ」
画用紙に油彩、アクリル絵の具 2018.3
3月3日に鹿児島の蒲生で行われた、雛祭りの街歩きイベントの様子です。
「おごじょ」は美人の意。
着物を貸してもらえて丁寧に着付けまでしてもらえるお得なイベントです。参加費たったの1000円。昼食付です。
雨で足元が悪くまだ肌寒かったですが、着飾って武家屋敷の街を歩くのは大変風情がありました。
周りを見てみると年配の女性が多く、鹿児島の高齢化を感じずにいられませんでしたが、
しまい込んでいた着物に袖を通し、嬉しそうに着こなしているのを見ると、いくつになっても装いは女性を輝かせ、女性は姫であるのだ、と思いました。
2018.01.22
大阪で開催されていたグループ展「赤信号の真ん中で」が本日で幕を下ろしました。ご来場いただいた皆さまに感謝申し上げます。
友人主催の展覧会で、お誘いを受けたのは夏でした。
大人数かつ遠方の参加者も多い中で、長期間地道に準備してくれた友人に感謝です。
作品は戻って来たら撮影してまたアップします。
「赤信号の真ん中で」という言葉は普段の私の主題とは離れたもので、はじめどう向き合ったらよいか頭を悩ませ、方向が決まったのは12月でした。
赤信号とは止まっていて進むことが出来ない状態です。
今はしんどくて前に進めず止まっているけれども、時間が過ぎれば自然に、簡単に歩き出すことが出来る。
私がそんな状況に置かれたのは環境が大きく変化するときです。
ひとりで知らない土地に移った大学入学後の夏までは毎日寂しくつらいものでした。
同じく就職のために上京した昨年の4月も、毎日緊張と不安の連続でした。
しかしそんな日々も時間の経過とともに何でもないものに変わります。慣れてしまえば楽しみさえ見つかったりします。
「王子公園」も「勝どき」も、赤信号の真ん中で見た、穏やかな瞬間を描いたものです。
王子公園駅から兵庫県立美術館へ向かう道で立ち止まった高架下、そこで見た景色。
研修を終え勝どき駅へ向かうオフィスビルの出口、そこで見た景色。
今は苦しいけれども、苦しいのは今だけだから、きっと大丈夫。
そんな気持ちで振り返りながら描いた2枚でした。