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2016.05.22

網戸

「網戸」
F100 キャンバスに油彩

実家の中から狭い庭を見たときの景色です。
人物は手前がわたしで、奥が母です。春の陽気の中でおしゃべりをしていました。
居間に放置していたわたしのカメラで姉が勝手に撮っていた写真が存外に面白かったので使いました。

四条の雑踏を描いた前作と対立する位置づけで描いています。
都会的で刹那的、誰でも構わない前作に対し、
こちらはいつも変わらない田舎の親密なワンシーンです。洗濯物も干してあるだいぶプライベートな空間となっています。

しかし、やはり就職活動の不安というものは帰省時にも大きく影を落としてきました。
ここに描かれている母ともだいぶ衝突し、いつもより距離感がある日もありました。
また、このころ友人のお父様が亡くなられ、今当たり前のようにいる家族もいつかは失われてしまうという無常観も持ちました。

あたたかな春の穏やかさと、視点の奇妙さ、避けられない不安感を一枚に収めました。