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2016.07.25

「素材の試(ためし) 華街の踊(かがいのおどり)/先斗町」
四つ切色画用紙にジェルメディウム、油彩 2016

ただ今展示中の作品のひとつ。
今回は「素材の試」シリーズとなっています。文字通り素材の実験をした作品です。
いつもは買ってきたキャンバス地そのままに描いていましたが、それを離れ、紙に描いています。
薄塗りで下地丸わかりのわたしにとって、下地を変えるのは大きな出来事です。
しかし気負わずにやってみようと筆をとると、意外に悪くない、というかだいぶ筆致や色を生かすことができる。
勧められるがままでしたがやってみてよかったです。

ちなみにこれは黄色の色画用紙に描いてみました。
先斗町のあたたかな提灯のムードを出すのにぴったりでとても楽しかった。

2016.07.13

「銀閣」
切りっぱなしキャンバスに油彩 2016.5
鹿児島から来た友人の希望で銀閣にお供したときの写真から描きました。
右端の女性がその友人です。あとはアジア系の外国人。
銀閣は何回か来ているので、銀閣そのものよりも観光客のほうに目が行ってしまいます。
写真撮影にベストなポイントではことごとく全員が同じ方を向き同じ姿勢になる。
それが面白くてつい撮ってしまいました。銀閣は撮りそびれました。

2016.07.08

「パンケーキ」
切りっぱなしキャンバスに油彩 2016.5

大きな声では言えませんが、制作室でパンケーキを焼いたときのものです。
ホットプレートはかつての先輩方から受け継がれて制作室に転がっているものを使用。
他にも調理器具が充実しています。食器類も不足はありません。
ゴールデンウィークに出かけるでもなく昼から夜中まで集まって何か食べていました。
こういった学校のゆるさとみんなの団結力が大好きです。

2016.05.31

「ガトリン」
切りっぱなしキャンバスに油彩

5月7日に行われたセイコーゴールデングランプリを観戦したときのものです。
生で陸上の大会を観られるのは昨年の9月ぶりだったので大いに楽しみました。
しかも選手のレベルが高く、進行も非常にスムーズなテンションの上がる大会。
カメラの電池残量と格闘しつつ滅多に活躍しない望遠レンズをここぞとばかり使いました。

男子100メートル走は花形種目で、トリとして行われました。
1位になったガトリン選手が花束を受け取りインタビューに答えようとしているところです。
会場はスタンディングオベーションでした。わたしはひたすらレンズを覗いていた。

前回大きなかっちりした絵を描いたので今回は気ままに量を描いていこうという試みに戻ります。
教授は画面構成や技法のアドバイスを下さいますが、いまは自分の周りをただ大事に楽しみたいという思いで描いています。
私の作為が入ると、大事な日々がちがうものになるような気がしています。

2016.05.22

「網戸」
F100 キャンバスに油彩

実家の中から狭い庭を見たときの景色です。
人物は手前がわたしで、奥が母です。春の陽気の中でおしゃべりをしていました。
居間に放置していたわたしのカメラで姉が勝手に撮っていた写真が存外に面白かったので使いました。

四条の雑踏を描いた前作と対立する位置づけで描いています。
都会的で刹那的、誰でも構わない前作に対し、
こちらはいつも変わらない田舎の親密なワンシーンです。洗濯物も干してあるだいぶプライベートな空間となっています。

しかし、やはり就職活動の不安というものは帰省時にも大きく影を落としてきました。
ここに描かれている母ともだいぶ衝突し、いつもより距離感がある日もありました。
また、このころ友人のお父様が亡くなられ、今当たり前のようにいる家族もいつかは失われてしまうという無常観も持ちました。

あたたかな春の穏やかさと、視点の奇妙さ、避けられない不安感を一枚に収めました。